事業承継全体像

事業承継とは事業を後継者へ引き継ぐこと。

事業とは、会社が営利を目的として行う経済活動であり、その元となる経営資源には有形の資源、無形の資源が含まれます。

経営者が起業し、生涯をかけて育てた事業を、後継者に引き継ぐことは最後の大仕事です。

日本における中小企業の数は358万社※。経済の基盤を支える重要な役割を担っています。

しかし今、そのオーナー経営者の高齢化が進み、事業承継は大きな経営課題になっています。

日本経済においても事業承継が滞ると経済的な損失が大きなダメージを及ぼすとして、政府もさまざまな支援策を講じています。


承継する経営資源は3つの要素で構成

経営の承継

後継者への経営権を譲ること。経営権とは会社経営上の権限、財産処分の権限、人事の権限等の権限一切を持つことです。経営権の承継には、後継者の選定からはじまり現経営者が築き上げたものを、数年かけて育成し引き継ぐ必要があります。

今まで以上に現経営者と後継者の対話(コミュニケーション)が大切になります。

 

◉ 経営権

◉ 後継者の選定

◉ 後継者の育成、対話


資産の承継

資産の承継は、事業を行う上で必要な資産を後継者に承継させること。法人では主に自社の株式、個人事業主では資金、設備・不動産、許認可等があります。

資産の後継者への承継方法は、贈与・譲渡・相続を活用します。

資産の承継には、贈与税・所得税・相続税等の税金の負担が発生します。

 

◉ 株式 ◉ 事業用資産(設備・不動産)

◉ 資金(運転資金、借入金等) ◉ 許認可


知的資産の承継

企業には、特許に代表される知的財産だけではなく、その企業特有の目に見えない無形の資産があります。

技術力やノウハウ、取引先(お客様や協力会社)との人脈、組織力も含めて会社の強みとしての知的資産を承継します。

 

◉ 経営理念 ◉ 経営者の信用

◉ 取引先との人脈

◉ 技術、ノウハウ ◉ 顧客情報



事業承継パターンの4つの選択肢

承継パターンの選択は、事業承継においては重要な事項です。

後継者の選定においては、適性を見極めながら時間をかけて行う必要があります。


なぜ経営者に相続対策が必要なのか

自社株の移転は、「生前贈与」「売買」「相続」3つの方法しかありません

 

資産の承継では、自社株を後継者に渡すことになります。生前であれば贈与、売買と言った手法を取るこ とになるのですが、その場合は「特定承継」と言います。一方、相続で渡す場合も想定されます。相続では遺言書で個別の財産の指定がない限り、相続人全員へ共 有として、正の財産・負の財産すべて渡されます。これを「包括承継」と言います。相続人が複数存在する場合は、遺産分割協議で財産を分けることになります。それまでは財産は共有(自社株は準共有)となります。そこで厄介なのが、遺産分割協議で相続人同士の争いが起こった場合です。自社株は準共有状態ままなので、会社法では共有者は権利を行使するものを選出しないと株主としての権利行使ができないことになっています。経営者が株式を所有したままお亡くなりになると、対策を講じていない場合は権利行使者が決定するまでは、株主総会で会社の重要な決議ができないことになり、経営にも影響を及ぼす可能性が生じます。

争族争いを未然に防ぐ

経営者が持っている自社株は相続財産です、その他の相続財産と合わせて相続税の課税対象となります。

相続人である後継者への財産(自社株・事業資産が集中した場合、その他の相続人との財産の配分で揉める可能性が出て来る場合もあります。

そのような、相続財産をめぐって相続人間の争いを未然に防ぐ対策も必要になります。特に、遺留分を侵害するような場合は注意が必要です。

自社株の相続税評価額を下げる

資産の承継で「生前贈与」「売買」「相続」の3つの方法のどの手法を使っても、税負担を軽減し 移転をしやすくするためには、自社株の評価額を下げる必要があります。

 

①経営者に退職金を支払う

経営者の退任に合わせて退職金を支払うことで、資産を減少させることが出来ます。

 

②不良債権の処理を行う

売掛金の回収見込ができないもの、不良在庫などを処理します。

 

③生命保険の加入

保険契約を法人契約から個人契約へ名義変更することによって退職金の代わりに保険契約を現物で支払うこともでき、経営者の老後の保障として持つこともできます。